ここ―食卓から始まる生教育 内田美智子・佐藤剛史

行橋の助産師である内田 美智子さんの「ここ 食卓から始まる生教育」という本を読みました。
保育園のお母さんのおすすめで貸してもらったのですが,読み始めてびっくり。
それはそれは深く考えさせられる一冊でした。

産婦人科という命に向き合う場所で働く筆者は,命の大切さを訴えます。

「生まれてきただけですごいこと」

「生」の反対は「死」ではない。「生まれてこないこと」である


産み月になって陣痛を待つ母親が,ある日,胎動が無いことに気付きました。
母親の予感どおり,胎児は命を落としていて,それでも母親は出産しなければなりません。
苦しい陣痛に耐え出てきた我が子は動きませんが,一晩だけ一緒に寝たいと言います。
その夜,動かない我が子を抱きしめ,母親は一生懸命,授乳していたという場面。
内田さんは,どんな言葉をかけてあげればよいか分からないと書いてありました。

産婦人科では,こんな場面もあれば,中学生や高校生の性病・中絶も多いそうです。

「性」を大切にしようと思えば,生が大切になります。
 性教育は生教育です。
 生を大切にすれば食が大切になります。
 生きることは食べること,食べることは生きることです。
 「性」と「生」と「食」はつながっていたのです。

食育と言えば,何を食べるかという部分に焦点が当たりがちですが,
それよりも「どう食べるか」,楽しく家族で過ごす食卓の時間が大切だと述べています。

以下は,内田さんの言う,少しがんばって目指す子育てです。
よくまとまっていると思ったので,プリントアウトして目につくところに貼っています。

 内田流、いい子育て半歩先宣言

 子育て全般編
 一、 まず抱き締めよう。なめ回すなら今だ!
 二、 抱き癖をつけよう。
 三、 二十四時間べったりしよう。今しかない。
 四、 可能なお母さんはおっぱいを飲ませよう。ミルクは抱いて見つめて飲ませよう。
 五、 「赤ん坊は泣くもの、泣くことしかできない」と悟ろう。泣く子を抱えて泣く、そんな日があってもいい。必ず笑って話せる日が来る。
 六、 父親の役割は「母と子」を丸ごと包み込み、支えること。
 七、 子どもの前では喧嘩はしない。
 八、 幼稚園・学校行事には必ず参加しよう。そこにいるだけで価値がある。
 九、 家族全員の誕生日のお祝いをしよう。お父さんのお誕生日もお母さんのお誕生日も。
 十、 一日は「おはよう」で始まり「おやすみ」で終わろう。

 遊び編
 一、 一緒に遊ぼう。
 二、 外で遊ぼう。
 三、 汗をかかせよう。ドロドロになってもいいじゃない!
 四、 思いっきり遊ばせる。我を忘れて遊ばせる。一日中、子どもと、我を忘れて遊んで夕食の支度ができない日もある。そんな日があってもいい。それが幸せな日になる。
 五、 家事も遊びだ。
 六、 おもちゃじゃないものを与えてみよう。完成されたおもちゃはすぐ飽きる。
 七、 テレビやビデオ、ゲームに子守をさせない。電子メディアは「お〜よしよし」とは言ってくれない。
 八、 食べ物であやさない。
 九、 絵本を読んで聞かせよう。読み手も癒される。
 十、 音痴でも子守唄は歌おう。わたしがそうでした。

 食事編
 一、 テレビを消そう。テレビを消すのは子どもの仕事にしてはどうでしょう。
 二、 携帯、パソコンの電源を切ってみよう。
 三、 食事は「いただきます」で始まり「ごちそうさま」で終わろう。
 四、 楽しく食べよう。楽しくなれば、つばが湧いてきます。
 五、 一回でも多く家族そろって食事をする努力をしよう。
 六、 ホカ弁、コンビニ弁当、店屋物は、子どもの食器に移し、飲み物も子どものカップで!
 七、 忙しいとき、一品でいいから手作りを添えよう
 八、 間食の習慣はやめよう。子どもがものを口にするのは一日五回。三色とおやつ二回。
 九、 「ひもじさ」こそご馳走。
 十、 三食食べさせよう。子どもは食べて成長します。

ここ―食卓から始まる生教育