09.母になった女性のための 産後のボディケア&エクササイズ(吉岡マコ)

一人目・梅男を産んだとき,自分の身体に対する意識がとても低く,セルフケアの概念すら持っていませんでした。解剖・生理・運動学の基礎を一応学んだにも関わらずです。
知識と経験が結びついていない良い例でしょうね。

著者は,産後の母親に必要なのは,産後ダイエットではなく,心と身体のためのリハビリであると主張します。

  • 10ヶ月弱の妊娠期間・出産を経た女性の身体はとてもダメージを受けているので,健康的な身体作りが必要である。
  • 産後は大変な子育てが待っているが,ダメージを受けたままの身体では上手く取り組めない。

本当にその通りなんです。

二人目・梅子を産んだあと,自分の身体をよく意識してみると,
「リハビリが必要な状態だな」
と気付きました。

よく「産後三週間は床上げをせず」と言われるのも産後リハビリの第一歩であると思いました。
実際に,身体に障害を持つ人にリハビリは,第一段階として重力の影響を最小にするため,ベッド上仰向けの姿勢で行われることが多いと思います。


この本では,まず人間の身体構造について触れています。
その後,抗重力筋をしっかりと使う姿勢について以下のようにあります。

  1. 骨盤(仙骨)の角度〜床と垂直になるように
  2. 恥骨からみぞおちまでの距離〜長く保ち,腹腔の容積を増やして背骨のカーブをゆるやかに
  3. 背中の溝〜脊柱起立筋を使う
  4. バストの位置〜背筋を使って胸を広げでバストを起こす
  5. 肩甲骨の動き〜僧帽筋・菱形筋を動かす
  6. 肩関節の位置〜耳よりも後(背中側)で首から肩まで伸ばす
  7. 首の長さ〜まっすぐ伸ばす
  8. おしりから脚のライン〜大殿筋を使っておしりをキュっと締める・太ももの筋肉を使って脚の付け根から外巻きに

こういう姿勢を,普段の生活の中で意識することが
充分な筋トレ(リハビリ)になると言っています。
筋肉だけじゃなくて,人間の身体の各パーツは,使わなければ用無しということで衰えてしまいますからね。

私も,実は,同じように考えて,姿勢を普段の生活の中で意識するということを実践していました。
なので,この著者の言うことに凄く共感できます。

体幹機能をしっかり持つということは,やっぱり子どものころからしっかり足腰を使うことが大事なんだろうなぁと思います。その点で言うと,私なんかガンガン意識して鍛えないと,今後が怖いです。



さらに,この本は産後のセルフケアの本なのですが,身体・心・脳のリハビリについて書かれてあるのも幅広い着眼点であると思いました。
女性の産後のための本ですが,産後に限らず女性・男性にも参考になるであろう内容だと思います。

この著者の言い回し,すごく特徴があるのですが,私は共感できるところが多くて好きです。
中でも最後のところが最も印象的です。

子どもができるということは,育てる(世話する)対象ができるだけではなく,同時に自分がその子どもの一番身近なロールモデルとなるということでもあります。また,人は一人で生きているのではないという,言葉にするとシンプルだけれど忘れがちな事実を強く実感する機会でもあります。人生において,産後ほど自分が試され自分と向き合うことが求められる機会はなかなかないのではないでしょうか。

私も,本当に同じことを実感しました。
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母になった女性のための 産後のボディケア&エクササイズ